BLゲームレビュー

『古書店街の橋姫』ネタバレ無しレビュー&ネタバレ感想

こんにちは。ぽぽたんです。
ボーイズラブゲームである『古書店街の橋姫』をクリアしました!
一言で感想を述べるとしたら「シナリオ重視派はやるべき!PC版でとてもおいしかったです」です!

熱冷めやらぬままに勢いで感想を書きたくなるほど、とても楽しくプレイしました!
良レビューの揃っている作品ですので、作品を紹介するというよりはただ感想を書きなぐりたいなと思っております。

ネタばれ無しレビュー

簡易レビュー

舞台は大正11年の東京。
空想癖のある主人公は帝大を2浪しているが、ぐうたらに日々を過ごしてきた。
ところが共に上京してきた友人が自殺したことにより、これまでの世界が一変する。
死の謎を追ううちに、疑うことなく甘えてきた友人たちが別の一面をみせはじめる。
はたして、何が現実で何が幻想なのか。

五段階評価
シナリオ:☆☆☆☆(ほんんんとうに面白かったのですが、やはり最後のルートで色々考えました…)
キャラ:☆☆☆☆(アクが強すぎるのに攻略し終えるとどいつもこいつも愛しくなる)
音楽:☆☆☆☆☆(作品の雰囲気を壊さないレトロかつ情緒的なメロディー最高、さっきサントラを注文しました)
システム:☆☆☆(同人ゲームと考えれば必要十分なのですが、シーン回想とか選択肢スキップとか欲しかった…がしかし!逆に言えばそれぐらいしか文句がない)
※Vita版ですとバックログからの遡り、オート機能 等々、十分に機能が揃っているようです!
総プレイ時間:18時間(一周目が8時間、他ルート3人×3時間、最終ルート1時間)
主人公はどの√でも受けです。

おすすめ度:☆☆☆☆☆
シナリオ重視派は間違いなくプレイするべき。
PC版だと諭吉を出して7人の野口英世が返ってくる。
正直このクオリティでこの値段は信じられない…。
しかしながら主人公及び攻略キャラのアクがかなり強いので、そういうものが苦手な方は体験版をプレイして様子見をしてもいいかも。

ネタばれ無しレビュー

いつも楽しく拝読させていただいているブロガーの方がゴリ押しされていた&明治時代の作家が好きなので勢いで購入しました。
VITA版も発売されてはいるのですが、「エッチなシーンでこれでもかと攻略キャラの執着心が露呈するためPC版が良い」とレビューされていたので迷うことなくFA×ZAでダウンロードしました。

個人的にはPC版で大正解でした。
最後のキャラまでクリアし終えタイトル画面に戻った後、すぐさま全ての攻略キャラの情事シーンに飛んで見返したほどに、情事シーン、何もかもが濃厚なんですよね。
初めての行為に戸惑う主人公をよそに、攻略キャラたちは焦がれ求めていた主人公が手中に落ちてくれてそれどころではない!
とにかく余裕がなく、愛の言葉を囁き放題、主人公を傷つけたくない反面”抱いている”現実に興奮がおさまらない、副読本で「孕ませてもいいか」とつぶやいていたことが暴露される…等々「そんなに好いててくれたんか…(ホロリ…)」と感動すら覚えるんですよね…。

そう、本作において甘々なシーンは限られている。
だからこそ攻略キャラの執念というか妄念というか情念というか、想いの丈をぶつけてくるシーンがとにかく良い、映える、萌える。
正直、水上・川瀬√のエッチなシーンは前後を含めて5回以上は観た上に情事シーンに入る前のくだりで必ず涙がでてくるようになった…。エッチできて掬われてよかったねって…。

PC環境のある方、適切なご年齢の方には迷うことなくPC版をおすすめします!

R18要素にしか言及しないレビューはどうかと思うので、軽くネタばれ無しのレビューもつづけますね(笑)

本作でまず評価されるのはシナリオの巧みさ。
何気なく過ごしてきた日常が不気味に変容していく物語膨れ上がる謎
一つ謎を解いたと思えば、それは本質的な解決にはならず、どんどん事態は悪化していく…。
他作品にはなりますが、初見の印象はレイジングループです。ようやくBLっぽくなるまではそういう感じ。

ネタばれ無しだとその程度しか話せない。。。
また作中に「ドグラマグラ」「三四郎」「屋根裏の二処女」等々明治・大正の小説をガンガン語りだすので好きな人はそれだけでニコニコすると思いますし、プレイする価値があると思います。
むしろ詳しければそれほど作中のモチーフなどが分かってニヤニヤできると思います!浅学な自分が憎いです…。

あと美麗スチルが!なんと!199枚ございます!!!タイトル画面と合わせると200枚!!本当に同人作品か???
私はルートスチルが3枚でも満足できるタイプのオタクなので、あまりの大盤振る舞いっぷりに動揺を隠せないしこれを書いている今も信じられなくてちゃんと数えました。

声優さんの演技もすばらしく、どのキャラクターも納得のいく配役だと思います。

本当に楽しくプレイしました~。朗読CDも買いますし2019年発売予定の新作も買います…。
私はダウンロード販売で購入しましたが、現物が欲しい方は7/10現在ステラワースがありますよ(小声)
ちなみに一周目を攻略し終えるのに8時間かかりました!ご参考ください!面白くて辞め時が見つからなかったので私は徹夜しました!

以下はネタバレばかりの感想です。

 

ネタバレ有の感想

これを書いている7/10は川瀬くんの誕生日です!おめでとう!
なんだか運命を感じるこの日に何を捨ててもこの感想を書いてやろうと勢いで書いているのでいつも以上に感想が乱雑だと思います。

個人的には晴彦さんのこれにすごく笑いました。

晴彦さんは明らかになんとか堂がモデルなので、正直最初は蛙男くんのようにただのメタキャラだと思っていたのですが、まさかあんなことになるとは…。

またン年ぶりにBLゲームをプレイしたので、最近は乙女ゲームばかりやっているけれど大丈夫かなと心配していたんですけど完全に杞憂でした!
男女関係だと愛だの恋が子孫繁栄に繋がり未来があるのですが、BLはそういう意味では退廃的なので薄ら暗さがあり、生産性のない行為を強く求められると淫靡ですし…何より玉森みたいに友情の延長で身体を許す主人公はBLの醍醐味というか…。数多くのループをこなし、攻略キャラを全て愛してから恋の段階に移る玉森はボブゲ主人公の鏡というか…。

ということで以下はネタバレ感想です。

水上


なんで水上死んでしまうん…!!!!!!!!
悲しさよりも玉森がこんなに頑張っているのに水上は自死を選ぶ不条理さに中盤までは怒りすらありました。
玉森と同じく、水上の手帳に自分の作品だけ感想がないことを知るシーンなどかなりショックを受けました。実際は好きすぎるので感想を書くことができるはずがないとかいう肩の力がと抜けてしまうようなもので、そんなことに落ち込んでいた玉森よ…となりました。かわいそうに…。
水上、いいや川瀬も花澤も玉森を守らんとするせいで隠し事が多すぎるんですよね。最初から伝えていれば…、でも物語の始めのちゃらんぽらんな玉森には真実や真心は伝わらないのですね。すべてはタマさんの力不足に起因する…。

玉森からみていた水上は頭も良く完璧で優しかった。けれども実際はその幻覚に沿うように水上は演じていたことがわかるシーンの衝撃よ。
私もそれ以降の水上はむしろ出来の悪い子か?というぐらい可愛く思えて物語を読んでいました。

これから起こる悲劇を回避できるという店主の説得に一切応じず、今の私はこうしたいんだとつっぱねるシーンからわかるように、タマさんの聡いんだか愚鈍なんだかわからない子どものような純真さを皆愛しているんだろうな。

その後の9周目のシーンで梅鉢堂に訪れる玉森の水上への対応も味わい深い。水上は完璧な人間でないと知っているので一つ一つの行動に彼の不器用さが垣間見えて愛しくおもえます。

あと日本刀で応戦する水上のスチルかっこよすぎませんか!?水上√でも屈指に好きなイラストです。
前述のとおり出来が悪くてかわいいな…と思っていた水上が急にバンバン人を殺して返り血を浴びながらも花澤に立ち向かう姿、急に訪れるギャップにひいひい鳴きました。
副読本ではいつかの生では剣を振っていたと書いていてはへ~となりました。

水上はずっと玉森を想っていたので、切々とした様子でそれを語られると私もキュン…とはなるのですが、それ以上に玉森がほだされているのがいい。
自分の欲やワガママを出してこなかった水上が思い通じ玉森に先導されて一番最初にやることがセックスなのでBLゲームだなと思いつつも、玉森が腰砕けになっても攻め続けてしまう…とかいう一番最初にみる欲深い水上が情事シーンというのは凄く凄く良い舞台構造だと思いました。拝んだ。玄人童貞と念仏唱えるところは笑った。

橋姫が水上にうつった&雨の日しかエッチできないという条件≒自分の欲に忠実な激しいセックスしかできないとかいう破壊力満載な設定が副読本に書いていて倒れるかと思いました。
あのずっと玉森を気遣い、未来で玉森が自分のことを思い悩まぬようにと自殺するような水上が相手を気遣うセックスができないとかいう、は~鬼か!!!!!!(誠にありがとう)


またこのシーンがとても好き。彼らの関係性はなんだかんだで優しいものなんですよね。

このゲームはキャラクターの印象が二転三転するのですが、ある意味一番意外性があったのは水上かもしれないですね。
私だけをみてほしいもうお前しかみないが重なるのは凄い…良い…。
水玉のエモさは玉森の描く物語をそれを世界で一番愛する水上しか聞き知ることができないところですね。花澤もだけど…。この凄さを表現できる語彙がない…。

川瀬


恐ろしい男ですよ彼は…。
ルートクリア直後よりもどんどん彼の良さが沁み込み深いところまで響く…。
この作品は叙述トリック的なのですが、川瀬こそ最もたるかもしれないです。

正直、川瀬のことを心から信じられるようになったのは君だけは触れられるよと手の甲にキスをするシーンでした。それまでは本心がみえてこないように思えていまして。。。
ですが改めてプレイすると、川瀬√初見時には信じられなかった川瀬の言葉や態度の一つ一つに愛情が滲んでいることにも気が付きました。
花澤のことを話題にだされる度に嫌がるのは、恥ずかしいからとか花澤を尊敬しているからだとかそういう玉森が考えていたようなことではなく、マジのガチで玉森の口からほかの男の名前が出るのが嫌でしかたなかったんだなとわかるのも良いです。川瀬よ…。

意識してシナリオをみると、「ねえ玉森くん、俺と〇〇どちらがすきなの」幼稚園児かよみたいな質問をたくさんしているのです。印象が180度変わる男川瀬、怖い…。
というか川瀬のほとんどのセリフに「(今日も玉森くんは綺麗だし可愛いな…)」という独白がついてくるかと思うと、早く恋心に気が付いてあげて!玉森!

「痛かったら、言って。…俺が気持ちよくなれるから」←このセリフが全てを表している上に結局気持ちよくさせてあげているテクニシャンよ。
作中では最も玉森が乱れ切っていたような気がします。副読本に玉森が執筆した猥談を把握しているのでその通りに攻めてみた的なことが書かれていたので笑いました。本人の性癖を攻めればそりゃな。
ですが普段は嫌味をいい酷い言葉でからかい揚げ足取りをする川瀬がこれをしてほしいなと情事の時は甘えてくるのは良いものです。拝みました。
いきたいと泣く玉森に「綺麗だよ」と声をかけながら足先で頬をなでるとかいう倒錯の極みみたいなことを平気でするところ…好き…
しかも玉森が「私は汚れてしまったか」と問うと、川瀬はずtttっと玉森を綺麗だと思っているから加虐心に火が付く、いわゆるエッチコンロ点火されるのもよかった~笑った。

副読本にお互いの好きなところは”顔”と書いていたのも笑いました。
お互いに整った”あの顔”で言われると許しちゃうんだろうな、やはり顔はアドバンテージ。

しかし店主の記憶を引き継ぎ、狂おしいまでの水上への想いを知ってしまったせいで、何かと水上を引き合いに出す川瀬よ。数珠繋ぎ、潔癖症だから実際さあするぞとなっても嫌がりそう…。

そういえば水上の瞳が最後に青く光った理由が、この√でちゃんと示唆されていたんですね。副読本を読むまで気が付かなかった凡庸な私…。この作品は物語へのヒントが散りばめられているので考察が好きな人にはたまらんだろうな。

コーヒーに睡眠薬を混ぜるシーン、あの玉森が上手に出てきて川瀬が驚いていたのが印象的でした。
どのルートでも言えることなんですけれど、相手の気持ちがわからず翻弄されていた玉森がループを繰り返すことでようやく同じ目線に立って相手を愛することができるようになる。自分のことも愛せていなかった玉森が、孤独に絶望した玉森が、成長することによって誰かを愛することで幸せを実感できるのは良いですね。

川瀬は今後の探偵ものを予感させるような終わり方からして、ようやく幼少期を取り戻せるのかなと思います。玉森と純粋な気持ちで遊ぶことのできる、そんな穏やかな日々を。
川玉は玉森が想像している以上に川瀬は玉森が好きで、その逆もしかり。絶妙にかみ合わないところから痴話げんかが発生するんだけれども、セックスしたら全て水に流れそうなほのぼのカップリングだと思っています!幼馴染最高だな!

花澤


お兄ちゃん…。
ほかのキャラはループを繰り返すごとに印象が良くなると思うのですが、花澤は真逆。どんどん花澤という人間がわからなくなります。
玉森も最後には気が付くのですが、プレイヤーが玉森や川瀬を通してみていた花澤の幻覚が解けてしまえばなんてことはない。
花澤も空想や物語を愛していただけの子どもだったのですよね…。現実に立ち向かっていた川瀬とは違い、花澤は心のどこかで何もかもを捨て子どもに戻りたかった。

1周目の初めてループするときの花澤が殺されたシーンはそれはもうショックだったのですが、ループを繰り返す内に水上は何度も殺すわ川瀬は見殺しにするわと震え上がりました。この作品、どの攻略キャラも一度は頭部と胴体を切り離されている…。
氷川が云々も少しはあるのでしょうが(戦争で摩耗していた花澤に幻想を思い出させてくれたのは博士なので、花澤は弱い自分を呼び起こしてしまったのだと思います…)再会した花澤が変わってしまったように思えたのは、すでに彼が壊れかけていたからなんだなとルートを改めて眺めて感じました。
国を救うという大義名分を得て橋姫伝説にすがることで保つことができていた花澤。幼馴染たちを想えば一瞬で危うい均衡が崩れるので、水上も川瀬も殺すし玉森に対しても非情であらんとしたのだな…。エッチしたらずっと目を逸らしていた想いに直撃してしまうんだけれども…。

花澤がいたら君は彼を選ぶだの、子どものころの4人は”川瀬と水上”&”花澤と玉森”という組み合わせでみていたという、玉森の花澤への憧れ川瀬の口から語られるのがいい。
川瀬は玉森のことが大好きなので、君は花澤を選ぶから会わせたくなかったというのがなんともまあ良いというか、何故川瀬は花澤と玉森を引き離したかという疑念が簡単に解決されて拍子抜けというか、川瀬よ単純すぎないか…。
そして、確かに玉森くんは花澤を選びました…。

その後の5人での会談シーンの緊張感ったらない。花澤父を殺した川瀬父を遠回しに川瀬へ糾弾し(川瀬が膝をついた理由は花澤に言われたショックと、10年前に殺し損ねた玉森がその能力によって掬われていたのだと気が付いて愕然としたのだろうか…わからん…)、その時に時を戻したいと縋ったも無碍にされたと水上を糾弾し、友達よりも国をとるのだと玉森に告げ、二人をとりあえずサクッと殺し…。
花澤…お前に人の心はあるのか…。(壊れかけています)

情事シーンでは、何も語らず甘い雰囲気一つなかった花澤からどデカ感情をぶつけられるわけですが…。
最初は本当に義務的にエッチをしていたと思うんですけれども、多分玉森といたしてしまったんだな実感した途端に色々なものが溢れ出ちゃったのかな。
「俺と、同じ気持ちでいろ…!」というセリフ、彼の感じてきた孤独恋情独占欲欲張りセットで怖くなりました。ボロボロになるまで読み込んだ物語を大切にしているようなロマンチストな花澤を取り戻した瞬間なのでした。花澤は玉森とずっと遊んでいたかった、玉森の心躍る物語をきいていたかった、ただそれだけだもんね…。

たしか共通√で花澤は8年ぶりの再会のはずなのに5年ぶりだなと話しかけたことが気になっていたのですが、玉森が見たあの夢のように、大戦中に夢の中で玉森と再会していたのだなと再プレイしていて思いました。
仲間を失い人を殺し極限状態にいた花澤に現れた玉森、夢が覚めた時に花澤は何を思ったんだろうなあ。隣に玉森がいない孤独を思うと、あまりの辛さに玉森や川瀬・水上との思い出を胸の奥深くにしまい込んで忘れんとするよなあ。

しかし玉森の選択が凄いですよね!花澤の執念を解くために紀元前へ飛ばす!後日談の通り、完全に二人の世界かつ誰も邪魔をしないので興味が移りやすい玉森と壊れかけている花澤にはうってつけの環境だなと!!!
後日談SSを読むと、玉森と愛を深めあうことでこれまでの固定観念を破壊しきって、贖罪と再生をはかるのかなと思いました。
公式Q&Aの「だがお前の彼氏は火を起こせない」という答えには涙がでるほど笑った。たしかに花澤さえいれば無人島だろうが紀元前だろうが二人で生きていけそうだ。

浜辺で火を焚き星空を眺めながら波の音に乗せ即興した物語を語る玉森と、凪いだ心で穏やかなまなざしをして聞き入る花澤。天国だよそれは。
ようやくたどり着いた先に幸せがあってよかったね花澤。これは花澤のための物語だな。

博士


水上√の終盤までは氷川のことを変人だけれども面白い人だなと思っていましたが、9回目のループで彼の弱さや狂気の片鱗が垣間見えヤバいやつなのではと恐恐としていたのですが、作中である意味一番キていたのは花澤でした。安心しました。

私は一途な童貞キャラが好きなので(直球)、博士のことを好ましく思っていました…が!博士の凄いところは、玉森に尽くすことが自分の欲に忠実であるということで。つまり氷川にとって益(尽くすことで満たされる)はあれども、玉森にとって必ず良いことではないとかいう”善人”ではないところですね!

橋のたもとに玉森を吊るすシーンも、死なせてしまってもよかったとかいう衝撃。彼にとっては偏在するどこかの玉森を幸せにできればよい…。

正直ですね、このゲームにバッドエンドが実装されていないことを唯一惜しんだのが博士√でした。
視力を失って、一剣も砂山も失って、玉森すらいなくなる。そんな彼に寄り添ってほしかったなと思うのです…。玉森が歩みを止め、目の見えなくなった彼へ極彩色の世界を語ってきかせるEDがあってもよかった。ですがまあ川瀬に頼み込んで眼球移植してもらえば解決するのかな。元も子もないな。

この後のどうやらお前が好きらしいと告白するシーンも好きだし、死ぬなと言われてもずっとお前が好きだったとしか返せない水上よ~お前はよ~。いくら店主の記憶が想いが混ざろうが、玉森は博士を掬いたいから水上のもとを去る。エモ…。

博士とのエッチシーンで笑わなかった人はいないんじゃないか?というほど小ネタを挟み込んできて笑い通しだったのですが、ちゃんとエロかったのでは~すごい~となりました。(作文)
振動する梁型を手に、こんなもの作れるあなたは器用ですよ!!と怒られありがとうございます…と返すシーンとか本当に好きです。
ほかのキャラは情事を通じて自分の想いを伝えるので意外な一面をみせてくれるのですが、博士は常に好意を隠していないのでセックスしようが博士らしさを崩さないので凄かった。印象が変わらなさすぎてむしろ凄い。
玉森も雰囲気に完全に飲まれてしまって、潤滑油を媚薬だと勘違いするほど不本意に気持ちよくなっているのも良かったです。いにしえの顔文字をつかうなら(^^)bです。

情事の後に窓際に博士が立つスチルが好きです。博士は玉森に抱きしめてもらいたいしエッチもしたいし、それと同じくらいに浅草十二階へ行きたいし共に時間を過ごしたい。これから訪れるであろう二人の甘やか(…?)な時間を想像させるような余韻のある終わり方だなと思います。
後日談SSを読むと、完全に玉森は丸め込まれているのでどちらが優位に立っているのかわからないのも博玉の魅力。
相手に気が付かせないように盛り上げて自分の望むほうへ誘導させる博士、相当腹黒いのでは…!?しかし普段の変態ぶりのせいで気が付かせないのは策士か…。

副読本や公式のQ&Aを拝見して、玉森の外見が上の下、わりと美男という衝撃の事実が明かされ、玉森本人は自分の見た目の良さを気が付いていないので何とも言えませんが、そりゃ攻略キャラたちもこぞって綺麗だと見目を評価してくれるなと思いました。あばたもえくぼな恋が曇らせた描写なのかと…!
博士のひとめぼれにも納得がいきます。自分の好む物語を美しい人が書いていたらべろべろに好きになってしまうよな。ましてや根底に関わる怪人の物語を執筆していると知れば運命を感じて益々好きになっちゃうよね。

最後に博士の好きなシーンをはります。

博士は玉森のことになると…ホロリ…。そういうところが好き…。
博士√は水上が死なず震災も戦争も起きない幸せなルートなので、次の√をプレイするまで完全に油断しきっていました。

能面の男…の感想の前に


冒頭の流れに度肝を抜かれて、呆然としたままエンディングを迎えました!!!多分、みなさんそうだったのでは…。
映写機からの一連の話はそういえば私はBLゲームをしていたのだ…とあまりの和やかな描写に涙しました。人が死ぬゲームばかりをプレイしているのですが、本当に好きなのはラブコメです。信じてください。
こういう話をもっと見たかったな…。

ところが店主が出てきたところで一変。今までの物語はすべて玉森の空想で、水上も川瀬も花澤もとっくに首を吊って死んだし博士は存在すらしていないのだと…。
店主は水上√とは異なり、過去に戻った際に容赦なく3人を殺した。未来の玉森が”この3人と過ごした”物語の空想に耽らないよう、価値のある人間として育つために。そして幼い玉森はそのてるてる坊主をみて、己の美しさを知る。生きているだけで美しいんだなと。

店主を殺害した後、どこまでが現実で幻想であるのかわからないと嘆く玉森は目の前にいる能面の男だけは現実なのだと知っていて、彼とともに過ごすことを選ぶ。
時の流れは不可逆的で、友をなくし哀しんだ想いも一冊の物語にしてしまった。今の私はまた新しい物語を構想している。

…という流れなのですが、長文感想を書き連ねられた程度にはどのキャラも大好きになっていた私には最初受け入れられなくて愕然としました。
公式のQ&Aにも“ある意味正史だと書いてるし絶望ですよね。
彼らを幻想扱いしたくはないうえに、ありがたいことに物語にほころびを残してくださっているのでちょっと考察してみようと思います。

まずカオル√そのものも幻想だと考えています。
ということで、川上√(に近い世界)から転移をしてきた店主が存在している地点で幻想だよな…という説を補強したいと思います。

梅鉢堂は大震災でも崩れず残った→川上√では店主が震災を乗り越えられるよう頑丈に作り、玉森がやってくる時代を待ったと話していました。幻想を解かれた玉森は若干20歳なので財力はない(池田をうまく使った可能性もあるけれど、短期間では建築できないだろう…)つまり店主は存在した。

・店主は夢之久作に成り代わって執筆をした→副読本にカオル√でもそのようにしていたことが記載されていました。他√と同様にに、店主は出版で得た財産で梅鉢堂を建設し、玉森を待っていたのでした。

・カオルが存在すること自体が店主が実在すると示す→カオルは戦争孤児であるところを玉森が拾い育てました。(これまで通り水上√を踏襲するならば)44歳であった玉森は本編開始から14年前まで遡ります。本を書き、店を構える一連の流れにカオルもいたと考えるのが自然です。カオルが存在すること自体が店主の実在を示すことになると思います。

時を超え、過去の自分を待ちつづける男。橋姫伝説をめぐる幻想奇譚にふさわしい登場人物だと思います。そんな彼は空想であると断じた水上√の延長線上に存在します。実在を認めてしまえば、おのずとカオル√も空想だと断じても良いかもしれません(かなりの暴論ですが…)

公式に記載されている通り、「各ルートの幼馴染たちは本物」「カオル√に入った途端に幻想となる」のです。
メタ的に言い換えるなら、幼馴染たちが幻想であったという“設定”カオル√が進むのであって、水上√や川瀬√花澤√氷川√は否定されないのです
…というのが結論ですね!ある意味正史というのは、全ての√が正史であるというお花畑理論で解釈しました!

またこの√のテーマは『猟奇小説』ということで、プレイヤーが今までみてきた”現実”が”空想”であるのか否かを思い悩んでほしい…という意図もあるのかなあと。
公式のあらすじにはこうあります。
「何が現実で、
何が幻覚なのか。
友人の死の謎を追う、ポップオカルトな大正ミステリー」
何も”友人”が水上だけじゃなく、カオル√で急に殺された愛すべき親友達の謎を悶々と考えて欲しいという思いも込められているのかな。考えすぎですね。

余談1ですが、店主は「カオルは現実である」と晴彦を通して、またカオル√の冒頭でも伝えてきます。水上√以外だと能面の男を実在するものだと認められないのですが、そんなカオルとエッチまでするこの√、玉森にとっての現実と幻想がひっくり返ったのがカオル√なのかもしれません。幻想と現実をひっくり返すことが本√のテーマなのかな。うまく伝えられなくてすみません…。

余談2ですが、店主の話にあった玉森が傾倒していた「ショーペンハウアー」という哲学者について。苦からの解脱という仏教的な思想でニーチェやフロイトにも多大な影響を与えたそうです。浅学のくせに簡単にまとめてしまうと、自分の認知が元だって世界は形成されるので、主観によって制約されるので「世界は幻である」ということを述べています。カオル√を含めたこの物語は玉森の主観でしかありません。また読書をするということは、他人に考えてもらうことと同義だと述べており、似た内容を玉森も話していました。読書好きな水上はそういうところがありましたし、一方で川瀬は自分でものを考えて動く人間でした。作中に登場する小説を読むことももちろんなのですが、この哲学者について深く知ることができたならば、よりこの作品を好きになることができそうだなと思います。

能面の男


1周目の、それこそ1回目のループの時はとにかく恐ろしかったのですが、最後までプレイをし、改めて共通√をみるとあまりの健気さに涙がでてきます。
公式サイトのキャラクター紹介欄に「お」の一言だけあるのですが、初見時は不気味なそれも、最後までプレイすればいとおしいの一言です。

ともに過ごすことで季節の移り変わりを知り、カオルの興味の裾野が広がることをうれしくおもい…という演出が好きです。
カオルと玉森の関係は家族とは呼べない歪さがあるのですが、まあ水上や川瀬だって一般的な意味では友人とは呼べないしそういうもんなんだな(納得)

カオルについては描写が少なすぎて惜しいでのですが、公式のQ&Aや副読本での純粋無垢な姿に心打たれます。特にバレンタインのエピソードの可愛さに悶絶しました。
もっとカオルと玉森の物語が欲しかった。
カオル√のカオルの年齢だけは気にしてはいけない…!

最後に


(この羽織をかけた玉森の立ち絵が本当に好き)
簡単な感想を書こう…と思っていたのにこんなに長くなってしまった。
まさかここまで読んでくださった人がいるとは思えませんが、もしもここまでたどり着いたとしたら感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

ABOUT ME
ぽぽたん
ぽぽたん
ゲームと猫が好きなオタクです。大好きな乙女ゲームのレビューやおすすめの作品を書いていきたい。これまでの人生をオタクとして過ごし、これからもオタクとして幸せに生きたい。